フランスの『Parrot』がアメリカ向けにプロフェッショナル・ユースのドローンを発表しました。
しかも『Made in USA』のドローンです。
Parrot 『ANAFI USA』
6月30日にParrotから新たなドローン、『ANAFI USA』が発表になりました。
1/2.4インチセンサーの光学カメラ2台と、『FLIR Systems』のサーマルセンサーカメラを3軸ジンバルに搭載しています。
事故などの際に最初に現場に駆けつける消防士や救急隊員、警察官などの使用を想定して設計されており、防水防塵性能は『IP53』、WPA2によるWi-Fi接続、AES-XTSによるSDカードなどストレージデバイスの暗号化、EUの一般データ保護規則(GDPR)に準拠するなど機体の安全性はもちろんサイバーセキュリティーも充実しています。
フライトコントローラーやIMU、CPUなどはアメリカやヨーロッパ、日本製を使用し、筐体のプラスチック製や金属製の部品のみ中国製を使用するようです。
- Made in USA
- FLIR BOSONセンサー搭載のサーマルカメラ
- 32倍デジタルズーム
- 高い防水防塵性能(IP53)
- 飛行時間32分
価格は7000ドルで2020年8月から受注を開始します。
スペック 『ANAFI USA』
2019年に発売された、サーマルセンサーを搭載する『ANAFI Thermal』、日本でも購入できる『ANAFI』と比較してみます。
スペックの詳細はこちらからダウンロードできます。
機体
ANAFI USA | ANAFI Thermal | ANAFI | |
重量 | 500g | 315g | 320g |
サイズ | 282×373×84 mm (L×W×H) | 241×315×64 mm | 175×240×65 mm |
サイズ
(折りたたみ時) |
252×104×82 mm (L×W×H) | 218×69×64 mm | 244×67×65 mm |
最大飛行時間 | 32分 | 26分 | 25分 |
最大耐風速 | 14.7m/s | 13.9m/s | 13.9m/s |
最大速度 | 52.9km/h (14.7m/s) | 54.7km/h(15.2m/s) | 55km/h(15.3m/s) |
伝送距離 | 4000 m | 4000 m | 4000m |
バッテリー | 高密度LiPo 3セル
11.6V 3400mAh |
高密度LiPo 2セル
7.6V 2700mAh |
高密度LiPo 2セル
7.6V 2700mAh |
『ANAFI』と『ANAFI Thermal』は機体のスペックはほぼ同じで、バッテリーも共通のものを使用しています。
一方、『ANAFI USA』はバッテリーが3セルになり、重量も500グラムとこれまでの『ANAFI』シリーズよりもだいぶ重くなっています。
飛行時間も32分と大幅に伸びていますね。
光学カメラ
ANAFI USA | ANAFI Thermal | ANAFI | |
センサー | 1/2.4インチCMOS x2 | 1/2.4インチCMOS | 1/2.4インチCMOS |
有効画素数 | 21MP | 21MP | 21MP |
画角 | 75.5° | 69° | 69° |
焦点距離(35mm換算) | 24mm | 26mm | 26mm |
絞り | f/2.8 | f/2.4 | f/2.4 |
ISO感度 | 100~3200 | 100~3200 | 100~3200 |
画像サイズ | 5344×4016(21MP) | 5344×4016(21MP) | 5344×4016(21MP) |
動画解像度 | 4K:3840×2160
FHD:1920×1080 HD:1280×720
|
4K Cinema:4096×2160 24fps
4K Ultra HD:3840×2160 24/25/30fps 2.7K:2720×1530 24/25/30/48/50/60fps FHD:1920×1080 24/25/30/48/50/60/120fps HD:1280×720 48/50/60fps |
4K Cinema:4096×2160 24fps
4K Ultra HD:3840×2160 24/25/30fps 2.7K:2720×1530 24/25/30/48/50/60fps FHD:1920×1080 24/25/30/48/50/60/120fps HD:1280×720 48/50/60fps |
最大ビットレート | 100 Mbps | 100 Mbps | |
写真フォーマット | JPE / DNG(RAW) | JPEG / DNG(RAW) | JPEG / DNG(RAW) |
動画フォーマット | MP4(H.264) | MP4(H.264) | MP4(H.264) |
デジタルズーム | 最大32倍 | 最大2.8倍 | 最大2.8倍 |
『ANAFI USA』は光学カメラを2台搭載しています。
空撮がメインのドローンではないので、カメラは特別高性能なものではないようです。
ただ、デジタルズームが最大で32倍まで可能になっています。
赤外線カメラ
ANAFI USA | ANAFI Thermal | |
センサー | FLIR BOSON | FLIR lepton3.5 microbolometer (radiometric) |
解像度 | 320×256 | 160×120 |
計測温度範囲 | -40°C 〜 +150°C | -10° 〜 +140°C (High-gain)
-10° 〜 +400°C (Low-gain) |
温度分解能 | <60mK(0.06℃) | <50mK(0.05℃) |
画像サイズ | 5344×4016(21MP) | 3264×2448 |
動画解像度 | 1280×720, 9fps | 1440×1080, 9fps |
デジタルズーム | 最大32倍 | 最大2.8倍 |
どちらも『FLIR Systems』製の赤外線センサーを搭載しています。
サーマルカメラではないですが『Parrot』では、以前から赤外線を使ったカメラを販売しています。
精密農業に使われている『Sequoia』はコストパフォーマンスの高いマルチスペクトルカメラです。
『Bluegrass』というモデルのドローンにも搭載され、日本でも販売されています。
防水・防塵性能
『ANAFI USA』は『IP53』という防水防塵性能を備えています。
ちょっとわかりにくいですね。
ざっくりいうと『IP53』の『5』が防塵性能で、『3』が防水性能を表す数字になっています。
防塵性能は『6』が最大なのでけっこうしっかりしています。
防水性能は『8』が最大なのでちょっと心配な感じもします。
『4』未満が生活防水となるので、まあ多少濡れても大丈夫と言ったところでしょうか。
この動画ではかなり思い切って水をぶっかけてます…
大丈夫なんか?
防塵性はなかなかのようです。
さいごに
『ANAFI USA』を発表するにあたって、事前にParrotからけっこう過激なコピーが出ていました。
DON’T TRAST CHINESE DRONE
TO SEE THE DRONE YOU CON TRAST
DO YOU TRAST DJI DRONE?
TO MEET THE DRONE YOU CAN TRAST
Parrot
情報漏洩などサイバーセキュリティー上の問題もあり、情報関連機器を中心に中国製品が敬遠されていく流れがあるのは否定できません。
それに加えて今回の『Parrot USA』や、設計から生産まで全てをアメリカで行う『Skydio』などの新しい製品やサプライヤーの登場によって、これまで中国製の『DJI』にほぼ独占されていた市場も変化していくのではないでしょうか。
【Skydio X2】自律飛行技術がすごい!アメリカ製のドローン
Parrot’s launch Webinar
6月30日の『Parrot’s launch Webinar』で言及されていた、DJIドローンの問題点は以下のような内容でした。
原文のまま転載します。
The last available risk assessment on DJI drones was carried out by Booz Allen Hamilton in March 2020 on behalf of PrecisionHawk. This study concluded that there is no data leak with DJI drones.
The study was not made public until June 9.
On May 12, the company River Loop Security specialized in IoT cybersecurity reported a major data leak to MobTech, a Chinese data intelligence platform.
With version 4.3.26 of DJI GO, DJI silently removed the use of MobTech spotted by River Loop Security.
Booz Allen Hamilton reports at the start of their study that they performed “limited testing”, “no customized exploits” and “very difficult to verify costodianship of any data when using cloud based services.”
How can a study carried out in March claim on June 9 that there are no data leaks in DJI software while GJI suppressed some of them on May 12?
This is a sign, as BAH rightly says, that their study is only based on “limited testing”.
There are other examples of DJI changes of data leakage methods as soon as they have been detected.
ANAFI USA is designed for First responders, Firefighters, Police and also Surveyors.
We believe our customers deserve a drone they can trust.
Parrot’s launch Webinar